造形材料

光造形は複雑な形状を高精度で低コスト、かつ短い工数で製作することに特化した工法です。光造形で使用する紫外線硬化樹脂(エポキシのプラスチック)の機械特性は、他の工法で使用する材料に比べると低いという問題がありました。
耐熱性と精度の高い部品を頻繁に設計変更、テストしながら完成に持ち込む自動車用機能部品では、短納期、かつ高耐熱性・高精度の試作工法が求められてきました。しかし要求される物性が高いため、高価な工法・材料を使用せざるを得ず、試作費は高止まりしていました。
SL-UV HTR250 では、従来の光造形のメリットを生かしつつ、高い耐熱性と耐衝撃性を兼ね備え、タップ加工やねじ止めもできるようになりました。この材料を使用することで、高スペックな材料でありながら試作費の低減と短納期の実現が期待できます。
環境対応 | 水溶性 |
安全性 | アンチモン不使用 ビスフェノールA(BPA)不使用 |
高靭性 | タップ加工 ねじ止め可能 |
精度 | 部品組み付け可能 |
特記 | 高精度 (JIS 精級) ノンフィラー |
粘度(cps) | 970 |
感度(mJ/cm^2) | 13 |
熱処理前 | 熱処理後 | |
降伏点引張強さ (MPa) | – | – |
破断点引張強さ (MPa) | 80.3 | 108 |
伸び (%) | 4.5 | 3.8 |
曲げ強さ (MPa) | 142.6 | 193.3 |
曲げ弾性率 (MPa) | 5240 | 6270 |
アイゾット衝撃強さ (J/m) | 23.3 | 62.7 |
加熱変形温度 (℃@0.46 MPa) |
126 | 252以上 |
加熱変形温度 (℃@1.81 MPa) |
81 | 129 |
- 耐熱性 HDT (低荷重) 252°C以上
- 精度が高い (JIS 精級)
- 機密性が高い (含浸は不要)
- 形状が複雑でも一体加工可能
- 短納期、低コスト
- タップ加工が可能
- 耐衝撃性が高い
- フィラーが入っていないので可視化モデル製作が可能
- 耐熱性を必要とする樹脂部品の試作
- 射出成形の簡易型
- 流体、気体を制御する部品の可視化モデル

従来から利用されてきた3Dプリント用生体適合性樹脂にはアクリル樹脂がありましたが、これには医療分野に利用するにあたって必要な強度が致命的に不足していました。快速成形秋葉原が独自に開発した3Dプリント用水溶性エポキシでは、高い曲げ弾性率と高衝撃性を兼ね備えました。また、低粘度による高い寸法精度と再現性、生産性も達成し、負荷の高い部品への応用ができるようになりました。
水溶性エポキシでは重金属アンチモン、環境ホルモンとされるビスフェノールAを使用せず、GHS分類において有害性が最も低いレベル、もしくは非該当を実現しました。
基本構造は既に完成、特許取得済みです。ISO10993-1毒性試験、ISO20795-1物性試験での生体適合性の試験に合格したうえで FDA (アメリカ食品医薬品局)からの承認が下りれば、医療分野での応用が可能となります。
環境対応 | 水溶性 |
安全性 | アンチモン不使用 ビスフェノールA(BPA)不使用 |
精度 | 高精度 |
特記 | 低吸湿性 |
粘度(cps) | 256 |
感度(mJ/cm^2) | 13 |
降伏点引張強さ (MPa) | 71 |
破断点引張強さ (MPa) | 66 |
伸び (%) | 6.3 |
曲げ強さ (MPa) | 130.8 |
曲げ弾性率 (MPa) | 4016 |
アイゾット衝撃強さ (J/m) | 46.5 |
加熱変形温度 (℃@0.45 MPa) |
50.5 |
加熱変形温度 (℃@1.80 MPa) |
54.4 |
要素注意喚起語 | 警告 |
危険有害性情報 | 皮膚に触れると炎症する恐れ 水生生物に有害の恐れ |
急性毒性 (経口) | 経口 LD50 ラット>2,000mg/kg 区分外 |
急性毒性 (経皮) | 経口 LD50 ラット>2,000mg/kg 区分外 |
急性毒性(吸入:蒸気) | 区分外 |
皮膚腐食性、皮膚刺激性 | LLNA-DA法 (TG442A簡易法):陽性 (弱い感作性) |
眼損傷性・眼刺激性 | 区分外 |
消防法 | 危険物 第四類第四油類 危険物等級3 |
毒劇法 | 非該当 |
労働安全衛生法表示物質 | 非該当 |
通知対象物質 | 非該当 |
PRTR法 | 非該当 |
第2種指定化学物質 | 非該当 |
船舶安全法 | 非該当 |
航空法 | 非該当 |
医療機器の生物学的安全性は、国際規格である ISO 10993 「医療機器の生物学的評価」シリーズに準拠して評価します。しかし、このプラスチックのように幅広い用途で利用される材料の場合、個別の用途に応じて要求される物理特性や調質がそれぞれ異なるので、用途に応じた材料レシピを最終決定してから、その都度生体適合性試験による安全性の評価が必要となります。
つまり、生体適合性試験を行うには、まずアプリケーション(用途)を決めなければならないのです。
販売を行ってくれるパートナー企業と用途が決まり次第、要求される条件を満たした材料での生体適合性試験を可及的速やかに行います。
他の生体適合性材料との材料面における差異ですが、通常物性を高めるために含まれているビスフェノールA (BPA) を除いているので、新生児医療における環境ホルモンの影響が無いことを特徴の一つとしています。